2020.04.01

飛騨の薬草を学ぶ教養講座 「コブシ」【広報ひだ2019年4月号掲載】

日差しも春めいてきましたね。畑ではフキノトウが、堤防を歩けばノビルが、春を待ちかねたように伸び始めています。 早春を告げる花、と言えばウメやサクラと並んでコブシを思い浮かべる人も多いでしょう。コブシの白い花は、まだ緑が少ない時期には遠くからでも目を引きますよね。 コブシは漢方では辛夷という名前がある立派な漢方薬なのです。葛根湯加川芎辛夷と言う漢方薬は蓄膿症などに効果があります。

ではコブシはどうやって使うのでしょう。花びらを使うのでしょうか。実はつぼみの状態であることが重要なのです。花が少しでも開いてしまうとさっぱり効能がなくなってしまいます。

コブシはつぼみを1日に1~3個煎じて飲むと蓄膿症や鼻水などの鼻の病気、頭痛やめまいなどの頭の病気に効果がある、数少ない薬草です。年をとって頭がぼんやりするというような時にもコブシはいいでしょう。花粘膜の血管収縮の作用があるので、鼻づまりにも効きますし、頭がすっきりします。

活用としては焼酎に漬けてもいいでしょう。少し焼酎に漬けておくだけでどんどん色がでて、しばらくすると濃い茶色になってきます。3ヶ月以上漬け込んでください。そうするとコブシの花独特の香りが楽しめるお酒ができます。先日も蓄膿症で鼻がグズグズしていたのですが、しばらくこのお酒を飲んでいたらすっきりしました。

コブシは樹木なので、地中深くからミネラルを吸い上げています。そこだけを見ても体に取り入れる意味がありますよね。花を楽しむ場合は、見た後で花びらを三杯酢や天ぷらなどで食べてみてください。とてもおいしいですよ。

本格的な春はもうすぐそこまで来ています。

いよいよ今年も薬草の季節がやってきますね!

村上光太郎「薬草を食べる」より

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