2020.04.01

飛騨の薬草を学ぶ教養講座 「クルミ」【広報ひだ2019年7月号掲載】

先日クルミを食べました。クルミは海外産のイメージが強いですが、飛騨の山でも採ることができ、これは昨年の秋から冬にかけて採取した実をとっておいたものです。殻ごと軽く空煎りして半分に割り、金属の細身の串で中の種子をほじって食べるのですが、ほんのりと感じる苦味や渋みと合わさった深い香ばしさがとても美味しいものです。

1日の気温差が大きいこの時期には体の負担を減らすためにも、努めてミネラルを摂るようにしたいところです。各季節の旬の薬草を使うのも、もちろんいいのですが、今回のクルミは採れる時期に採取して加工、保存しておくと、いつでも使うことができるという一例です。

クルミの殻の中の種子を採って乾燥したものは胡桃仁という立派な漢方薬です。 滋養強壮、咳を鎮め、駆虫剤となり、打撲傷に効き、動脈硬化も防いでくれます。煎じて髪に塗ると黒くなり、発毛効果もあります。

これは木の実全般に言えますが、地中深くから多くの養分を吸い上げて実を結ぶので、ミネラルが豊富で、ミネラル補給や体質改善に効果があります。

また、クルミは体内でビタミンAに変わるカロチンや、代謝に欠かせないビタミンB1やB2、老化を抑制するビタミンEなどの豊富なビタミン類をバランスよく含んでいます。殻の下の皮に含まれるエラグ酸にも老化を抑制する効果があります。

実をほじる時に油分がにじむくらいなのでよくわかりますが、多量に含まれる油脂リノール酸はコレステロールを下げる働きが期待できます。その油分が体を潤すので便秘にも使われます。

こんなに体に良いクルミですが、脂質が多いので美味しいからといっても食べ過ぎは禁物です。せっかく保存が利くので適量を続けて摂るようにしましょう。

村上光太郎「薬草を食べる」より

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