2020.04.01

飛騨の薬草を学ぶ教養講座 「ノビル」【広報ひだ2020年2月号掲載】

今年は本当に雪の少ない冬ですね。 そんな近年稀な気候を前向きにとらえると、今年は薬草が早くから採取できます。春と言えばフキノトウが浮かびますが、同じようにこの時期、雪の下で春を待っている薬草がノビルです。 ノビルは漢字で野蒜と書き、ネギの古名である蒜が使ってあります。畑の蒜(ネギ)にたいして野の蒜で野蒜です。根部分にはタマネギのような白く丸い部分があります。

ノビルは食べると健胃、整腸、鎮咳、去痰、食欲不振、気管支炎、扁桃炎など、外用すると鎮痛、切り傷、肩こり、五十肩などに効果があり、常に食べていると風邪もひかなくなります。 ひとつ見つけると周囲に次々と見つけることができるなど、まとまって生えていることが多く、効果がたくさんあるので非常に重宝します。

また、ネギ類に共通する匂いや辛味成分の硫化アリル類は殺菌作用があり、絞り汁は虫刺されに、食べると血栓予防や消炎の効果があります。脳血管の病気が多い飛騨では積極的に採りたい薬草です。

4月中旬以降はトウがたちはじめて硬くなってきますが、今年は雪がない分、3月頃の柔らかいうちから長い期間採取をすることができます。そんなノビルの活用としては、ネギの代用があります。刻んだノビルを味噌で煮て食べると美味しく、ネギよりもネギ辛いのがわかります。味噌をつけてまるかじりや酢味噌和えにしてもいいですね。また、刻んで乾燥したり、冷凍したりして保存しておくと、薬味としていつでも利用できます。おすすめは刻んだノビルをたっぷり入れたスープ。ミネラル豊富で濃厚な味わいがあります。

雪が少ない分、散策がしやすいですね。ノビルやフキノトウなどを探しながら適度に運動し、健康薬草生活を始めましょう。

村上光太郎「薬草を食べる」より

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