2020.04.01

飛騨の薬草を学ぶ教養講座 「ナツメ」【広報ひだ2019年10月号掲載】

ナツメは飛騨ではとても身近です。

家の近くや畑などに植えられているのを 見かけることが多く、ナツメを煮たものが普通に食卓にでるので、身近な食材として知られています。収穫の時期になるとナツメを煮たもの缶詰にする様子を地元のテレビ局が放映するのが季節の風物詩になっています。

そんな身近なおかずとして知られるナツメですが、実は大棗という生薬名があり、利尿、鎮静、解熱、滋養強壮、知覚過敏緩和、咳止め、体の痛み、腹痛、眼病、子供の夜泣き、胃痙攣、不眠症、ヒステリー、痛風などに効果があるとされています。体を元気にし、痛みを和らげ、気持ちを落ち着かせる働きがあるということです。以前には花粉症に効くと全国的に大人気になったこともありました。

こんなに効能があるナツメが飛騨では生活にとても身近で、美味しいおかずとして食卓に出てくるというのは、先人の素晴らしい知恵なのです。

活用方法はやはり定番のナツメの甘煮ですね。作る際は煮汁も捨てないようにし、ぜひ煮汁も一緒にとるようにしてください。煮汁をお湯で割って飲むと美味しいですよ。

また、蒸したナツメを天日干しにし、ホワイトリカーに3ケ月以上漬けてから飲むのもおいしいです。このナツメ酒は、他のあまり風味のない薬草の焼酎漬けにブレンドし、風味をアップして飲みやすくすることにも使えます。ナツメの木を植えてみてはどうでしょう。

これから夏の疲れが出てきます。上手にミネラルを取って季節の変わり目を乗り切りましょう。

村上光太郎「漢方薬の実際知識」より

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